ご挨拶
コシラエルは2010年 、母子寮の一室で密かに誕生いたしました。
どうにもこうにも絵を描くことが好きで、どうすれば絵を生業にできるのかと模索していた時、ふと白い傘に絵を描き始め、刺繍を施したりと、傘を作ったこともありませんのに、見よう見まねで、1点ものの日傘作りがスタート。今思うと可笑しいなと思いますが、当時は本気で一生懸命に光を見つけておりました。
「こさえる」「こしらえる」という日本独特の手作りを現す言葉がブランド名となり、1本1本手描きの日傘に、アンティークやデットストックのボタンやハンドルが装飾された唯一無二の傘たちが生まれ、それからの走り続ける日々、、、ブランドは小さくも、関わってくれる全ての人に育てられながら10歳になった時、世界的なパンデミックが起こります。なぜかその時、土を掘る自分がいました。土に触れたいと思いました。庭に雨が溜まる場所があり、その水が捌けるように流れを作りたいと無心で1日に何時間も掘って土を移動して、流れる水の行方を想像しておりました。
その時の気持ちを言葉にするのはあまりに膨大で、野暮ったいので、割愛しますが、簡単に申しますと、仕事のあり方、生き方を見直す必要性を感じ、傘作り中止位することに。資材調達、会社を経営することの難しさ、家事について、本当の私の存在意義など、、、いろんな理由を免罪符にして、決断したようにも思います。
閉業後も修理だけは受けておりまして、壊れた傘を送る際にこの傘への想いを綴ったお手紙を添えてくださりました。「傘を修理できる」ということが、とても尊いことだと確信することができ、またありがたいことに再開を期待してくださるメッセージも多く頂きました。もう2度と傘は作らないと思っていたのに、だんだんと再スタートへの気持ちへ向いてゆく私がそこに立っていました。
2010年の初めて1本の日傘を作った時の志は、「自分の人生を愛する」でした。現在のモットーは「自分を生きる」です。私って一体なんだろうと考えてると、自分の良くないところばかり見えてきて、結局わかりませんでした。わかろうとするのは辞めてただ、できることを精一杯したらいいんだ!と、今感じております。それは、田畑を耕し食べるために動くこと、家族にご飯を作ったり、洗濯、掃除、植物にお水をあげたり、動物の世話をすることも含め、その同じ線上に傘作りや絵を描くことがあるとに気づかされました。田んぼを始めてから、全ての自然の力、鳥、虫、動物たち、目には映らぬ生き物たち全ての多大な力を感じ得ることがことできましたことは、これまでの傘作りからお手元に届けるまでも、いかに多くの方々のご尽力を賜つてきたことかと思い知りました。何事もわたし一人ではできません。小さなただの人間です。でも無ではないという小さな希望も教えてくれました。
作品でもあり商品でもある「コシラエル」。その両者を大切に汲み取り、上質な上澄みだけをピュアな気持ちでまっすぐにお届けできるようにありたいと思います。小さくも深く、これからまた精進したいと存じます。
2026年 夏至の日に ひがしちか


ひがしちか
1981年長崎県生まれ。コシラエル主宰。アトリエは標高 1180Mの八ヶ岳の山麓にあり、生活芸術という言葉を起点に様々な活動、作品を展開している。著書に「3着の日記」「かさ」「傘の素」「コシラエルとはなんだったのか」がある。2023年より平和を考える とき を きく も細々と活動中。 @chika.h2023 podcast ひがし ちかwebサイト
